筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群 情報サイト

病名の話

「慢性疲労症候群」という病名を聞いて、人はどのような病状を想像するでしょうか。慢性的な疲労で困ってる人々、といった感じかもしれません。そして「私も毎日疲れてる。休憩や気分転換を入れて、また頑張れば良い」と思うかもしれません。

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しかし実際のこの病気の症状は、病名から受ける印象とは全く異なり、本当にとても深刻な症状があらわれます。
患者さんの安全のために、症状が軽症だと誤解されるような病名は変更することが望ましく、また誤解がもとで患者さんに無理を強いることのないよう、症状の理解が求められています。

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まず頑張るも何も、重症な患者さんは寝たきりやそれに近い状態で、ベッド周辺にしか居られません。動こうとすると痛みや苦しみや猛烈な倦怠感などが襲うので、ベッド周辺に居ざるを得ないのです。トイレ、お風呂、食事をするのに困難を伴い、生活全般に介助が必要な状態です。

中等度の患者さんは多少は動く事ができますが、例えば家事のような作業をするたびに、やはり痛みや苦しみや猛烈な倦怠感が襲います。一つ作業をするたびに、体調を回復させるための長い休憩を要し、作業をやりすぎると病状が悪化します。病院の診察室では元気そうにみえても、前日は通院に向けてじっとして過ごし、通院の翌日はぐったりして家で寝込んだりしています。

病名から受ける印象と違って、実際の病状はひどく深刻で、病名変更が国際的課題となっています。

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現在まで「慢性疲労症候群」(Chronic Fatigue Syndrome(以下CFS))以外に使用されている病名がいくつかあります。

「筋痛性脳脊髄炎」(Myalgic Encephalomyelitis (以下ME))はイギリス・カナダでよく用いられています。国際的合意に基づく診断基準でも使用されました。そしていろいろな患者団体で使われています。
この名称は完全にはコンセンサスが得られていないのですが、それは脳や脊髄に「炎症」が認められる患者さんとそうでない患者さんがいるためです。しかしだからといって、病状にふさわしくない慢性疲労症候群(CFS)のままでは望ましくありません。そのような背景から、ひとまず医師と患者の折り合いをつけるような形で、多くの場面で「ME/CFS」という言葉が使われています。

「慢性疲労免疫不全症候群」(chronic fatigue and immune dysfunction syndrome (CFIDS)はアメリカの患者団体などでよく使われている名称です。CFSという名称は望ましくないという思いの中、この病気で免疫系の機能障害が確認されているために使用されています。

「全身労作不耐症」(systemic exertion intolerance disease (SEID))は2015年に米国医学研究所(IOM)が、新しい診断基準とともに提案した名称です。まだ実運用には至っておらず、正式な日本語訳が定められている状態にはなっていません。現在アメリカではこの提案を受けて検討が行われていて、とにかく慢性疲労症候群という病名を変更しようという動きが高まってきています。

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いずれにしても、この病気に「疲労」という表現は適切ではありません。患者さんの周りの人々が軽症だと誤解したり、患者さんに無理を強いることの無いよう、適切な理解が求められています。

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