日常生活を無理に発症前の状態に近づけようとせず、症状に合わせた無理のない生活に変えるようにします。
以下は日常生活の注意点です。症状のせいでコントロールがむずかしいこともあります。できる範囲で参考にしてください。

ペーシング

労作後倦怠感(PEM)ならびにクラッシュ(症状の急激な悪化)を引き起こさないため、活動と休息のバランスを取り、活動量をコントロールするペーシングが大切です。自分のエネルギーを確保するため、どの程度の活動であれば大丈夫かを知り、体調の悪化を感じる前に活動を止めるようにしましょう。

なお運動はME/CFSの治療法ではありません。有酸素運動は多くの慢性疾患で有益ですが、ME/CFS患者はそのような運動に耐えられません。健康な人に推奨される標準的な運動は、ME/CFS患者には重大な害を及ぼす場合があり、上述のような慎重なペーシングが必要です。

またエネルギーの節約として、補装具を用いる、柔軟な勤務時間・短縮勤務、重症患者のための在宅介護なども、症状に応じて検討します。

コロナ後遺症・慢性疲労症候群向けペーシングサポートアプリのご紹介(noteの説明ページ)

起立不耐症への対応

・塩分・水分の補給
・弾性ストッキングの着用
・長時間の立位、座位を避ける

ブレインフォグへの対応

・認知機能についてもペーシングを行う(例えば1度に1つのタスクとしたり、読書時間に制限を設けるなど)
・記憶を補助する道具(ノート、カレンダーなど)

感覚刺激への対応

感覚刺激を少なくする(耳栓、アイマスク、無香料の環境など)

食事

・バランスのとれた食事が大切です。
・一度にたくさん食べ過ぎないようにしましょう。
・加工食品はできれば控えましょう。過敏になっている食品、飲料がある場合には避けて様子をみましょう。なお遅発性フードアレルギーがある場合、症状が数時間後や翌朝に現れるため、アレルギーに気づきにくかったり、何を避ければいいかわかりづらい場合もあります。
参考:遅発性フードアレルギー


参考:
Strategies to Prevent Worsening of Symptoms(CDC)
Myalgic Encephalomyelitis/Chronic Fatigue Syndrome: Essentials of Diagnosis and Management(Mayo Clinic proceedings)

(更新日:2025-10-29)