ME/CFSの原因はまだわかっていませんが、以下のような複数の原因があるのではないかと考えられています。また2つ以上のきっかけが同時に働き病気を引き起こしている可能性もあります。
感染症
ME/CFS発症時の症状がインフルエンザ発症時のようなケースがあり、感染症がME/CFSを引き起こしているのではないかと言われています。またEBウイルス、ロスリバーウイルス、コクシエラに感染した10人に1人にME/CFSの診断基準をみたす症状があらわれると言われています。しかしME/CFSのすべてのケースが感染症をきっかけに発症しているわけではありません。
免疫系の変化
免疫系および感染・ストレス応答の変化によってME/CFSが起きている可能性があります。実際ME/CFSは自己免疫疾患のいくつかの特徴を持っていて、たとえばME/CFSも多くの自己免疫疾患も、女性がかかりやすい・炎症の悪化という特徴があります。しかしME/CFSでは組織損傷のような、他の自己免疫疾患で見られる徴候はありません。ME/CFSは以下のような別の形で免疫系に寄与しているのではないかと考えられています。
・サイトカインの慢性的な産生亢進
・NK活性の低下
・T細胞活性マーカーの異常
ストレスによる生体への影響
身体的あるいは情緒的ストレスはHPA axis(視床下部―下垂体―副腎系)に影響を与えており、ここから分泌されるホルモンは免疫応答、消化、エネルギー消費、気分等の制御に関連しています。このホルモンのひとつであるコルチゾールは炎症を鎮め、免疫系を落ち着かせる働きがあるので、分泌が減ると炎症の悪化や免疫の活性化をひき起こす可能性があります。ME/CFS患者は発症前に身体的あるいは情緒的ストレスを受けていることが多く、また実際に健常者と比べてコルチゾール値が低いことがあります。ただ、基準値内におさまっていることが多く、コルチゾール値で診断することは難しいです。
エネルギー産生の変化
ME/CFSと健常者では細胞がエネルギーを得るときに差があることがわかっています。しかしこれがどのように病気に寄与しているかは今後の研究が必要です。
遺伝との関連
家族内でME/CFSを発症することがあります。しかしまだ遺伝子やその他要因を特定できておらず、今後の研究が必要です。
参考:Possible Causes | ME/CFS | CDC
(更新日:2018-08-11)