筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は、これまで健康に生活していた人が突然、強烈な全身倦怠感に襲われるようになる病気です。休息をとっても回復せず、通常の日常生活が著しく困難になります。

また微熱や頭痛、筋肉痛、脱力感、集中力や思考力の低下など、さまざまな症状があらわれ、長期間にわたって続くことが多いのも特徴です。
ME/CFSは一般的な慢性疲労とは全く別物です。
ME/CFSは実際に存在する身体の病気であり、正しい診断と適切な治療が必要です。

主な特徴

  • 発症前と同じように活動することが難しくなります。
  • 入浴や食事の準備といった日常生活の動作が出来なくなることがあります。
  • 就労・就学・社会参加が難しくなります。
  • 症状が長期にわたり持続し、深刻な障害に至ることがあります。
  • 日本国内のME/CFS患者の約3割は、寝たきり、またはそれに近い状態で介助を必要としています。

病気の原因と診断について

ME/CFSの原因を明らかにするため、神経・免疫・内分泌など様々な観点で、研究が進められています。

・診断は専門家によって合意された診断基準に基づいて行われます。バイオマーカーの確立が急務です。

・国際疾病分類(ICD)では、神経系の疾患として記されています。
08 神経系の疾患 > 神経系のその他の疾患 > 8E49 ウイルス感染後疲労症候群 ・慢性疲労症候群 ・筋痛性脳脊髄炎 を含む(WHOのHP)

治療や支援について

症状に応じた適切な治療や療養、および社会的支援が欠かせません。治療方法の開発が急務です。

・ME/CFSの診療に消極的な医師が少なくないため、専門医が非常に限られています。そのため、長期間にわたり未診断や誤診が続くケースがあります(例:「気の持ちよう」「病気になりたいだけ」「身体はどこも悪くない」などの誤解)診療体制の整備が急務です。

厚生労働省が実態調査を行い、結果が報告されています。

・ME/CFS研究班が、国際ME/CFS学会編「臨床医のための手引書 2014年版」 日本語翻訳を掲載しています。


参考:
ME/CFSの基礎知識(米国CDC)
すぐわかるME/CFS(米国CDC)
日本医療研究開発機構(AMED)障害者対策総合研究開発事業 神経・筋疾患分野「慢性疲労症候群に対する治療法の開発と治療ガイドラインの作成」研究班
厚生労働省「慢性疲労症候群の日常生活困難度調査事業」(H26)

(更新日:2025-10-29)