DecodeME
ME/CFSの世界最大規模の遺伝学研究として、DecodeMEというプロジェクトがイギリスで進行しています。この研究はエジンバラ大学のMRCヒト遺伝学ユニットが中心となり、患者団体Action for MEなどと連携して行われています。
初期研究結果
DecodeMEはME/CFSの大規模ゲノムワイド関連解析(GWAS 病気の特徴と関連する遺伝的変異を網羅的に解析)を行い、初回研究結果がリリースされました。
⇒Initial DecodeME DNA Results
ヨーロッパ系のME/CFS患者15579名と、対照群259909名のDNAを比較したところ、ME/CFSと有意に関連する8つの遺伝子座が発見されました。発見された遺伝子座には、感染応答に関与する遺伝子の近傍に位置するものや、イギリスやオランダのバイオバンクで労作後倦怠感や疲労との関連が示唆されていたもの、以前に慢性疼痛で報告されたものも含まれていました。
性別による偏りは見られませんでした。またうつ病や不安障害と共通の遺伝的リスク因子もみられませんでした。
今後はさらなる知見を得るため、性染色体やHLA遺伝子(免疫反応に重要な役割を果たす遺伝子群)の分析をめざしているとのことです。
なお、個々の変異はME/CFSではない人にもみられるもので、研究結果は統計的な関連性を示すものです。個々の診断薬やリスク予測には直結しません。それでもこの結果はME/CFSが神経系や免疫系の関与する疾患であることを支持し、今後の病態解明や診断・治療の研究の礎として重要です。
(更新日:2025-08-10)