(投稿日:2015年5月31日/更新日:2025年8月12日)

大うつ病は、英語のmajor depressive disorderであり、一般的に「うつ病」と呼ばれます。大うつ病も慢性疲労症候群(以下ME/CFS)と同様、科学的なメカニズムは明確ではありませんが、診断基準は有ります。
両者を見分ける際は、以下のような症状の違いから、ある程度目星をつけることができます。

なお「大うつ病では脳内セロトニンが減少している」という説は、仮説の一つであり、証明されていません。現在のところ、検査で陽性かどうかを判定する方法はありません。

大うつ病とME/CFS(うつ病を併発していない場合)の主な違い

1. 抑うつ気分の有無

大うつ病では、抑うつ気分があらわれることが多く、診断基準上も重要です。
一方ME/CFSでは、抑うつ気分は全く無い、または身体症状が重いために二次的に落ち込みなどが生じており、他の身体疾患の患者さんでもよく見られる状態です。

2. 興味・喜びの有無

大うつ病では、興味を失ったり喜びの気持ちが弱くなる症状があらわれることが多く、診断基準でも重要です。
一方ME/CFSでは、興味や喜びは保たれていることが多いです。体調が悪いため、興味はあっても以前のように活動できませんが、テレビやネットなど身体の負担にならない範囲で、興味を持ったり楽しむことができます。

3. 気力の有無

大うつ病では、「○○をやろう!」と気力が出てこない傾向が強く、診断基準にも含まれています。
一方ME/CFSでは、やる気は十分ありますが、体調が悪すぎて行動出来ない状態です。「病気さえ治ればできるのに!」と考えている患者さんが多いです。

大うつ病とME/CFSでは上記のような違いがありますが、多くの医療機関では、ME/CFSの知識が十分ではないため、症状がME/CFSに近くても、うつ病と診断されてしまうことが少なくありません。現在うつ病と診断されているものの、症状がME/CFSに該当するのではないかと感じる方は、ぜひ専門医の受診を検討ください。